里親センターなら【奈良県天理市】

Experience

里親体験談

養育里親からファミリーホームとなった里親

Vol.005

Eさん(ファミリーホーム・60代・夫婦)

「子どもに安心してご飯を食べて、安心して寝てもらう。それが仕事」ファミリーホームで活動される里親さんご夫妻に話を聞く

令和元年から夫婦で里親活動を始めたEさん夫婦。令和7年にはファミリーホームに移行。7年間で迎えたこどもたちは短期間の受け入れも含め20人近くに上ります。多くのこども達と過ごしてきたEさん夫妻が、頑張り過ぎずに子どもと向き合い続けることの大切さを教えてくれました。

 

今でも覚えている預かった子ども達

里母さん:一番最初に来た子は、お父さんから虐待を受けていました。初日は一人で寝れず、添い寝をして寝かしつけました。二日目は一人で寝ようとしたのですが、眠れず階段で降りてきて、「夢にお父さんが出てくる」と言い、怖がっておりました。それぐらい、虐待された子どもの傷は深いんだなと感じました。

 

他にも、親から育児放棄を受けて、食事入浴を一切させてもらえなかったきょうだいが来たこともあります。来たときは真っ黒の状態で、入浴させてご飯を食べさせてあげました。そうしたら落ち着いて「もう家には帰りたくない。お母さんイヤや」と言うようになりました。それでも、その子達の中には実母を求める気持ちがあり、「帰らない」と言いつつ汚れた服を何度も着ようとしていました。やはり、どこかにお母さんが恋しい思いがあるのかもしれませんね。

 

また、障害を持っている子どもをお預かりしたこともあります。知的障害があり、500円と1000円どっちが大きいかも分からないような子です。でも、その子はすっごく性格が良く、ポジティブで明るい子でした。今は就職して自立しているのですが、この間も奈良県で地震があったときに「大丈夫ですか?」とメッセージを送ってくれました。優しい子です。

 

大変だった出来事と、乗り越えられた理由

里父さん:沢山あってすべてを思い出せないですけどね。私が印象に残っている子は小学6年から高校1年まで居た男の子です。発達障害があり、朝なんて全然起きませんでした。「お前のために言うてんねんやぞ」って言うと「俺のためにって言うんなら俺に何も言わんといてくれ。それが俺のためや!」って平気で言うてくる。こういったやり取りが毎日のように続きました。

 

この時に、「感情に乗せられてはならない」「自分を冷静に見ていかなあかんな」と常に自分に言い聞かせています。腹が立つこともあるかもしれません。でも、感情に走ってしまったら、自分も子どもも潰れてしまいます。ですので、常に冷静さを持つことが大切です。あるいは、その場から離れる。逃げるというと語弊がありますが、感情が高ぶった時には、その場から逃れて離れるっていうことが一番だと思います。そんな経験をさせてもらいました。

 

里親さんが思う子どもへの向き合い方

ー 気持ち的に離れた方がいいということですが、初めての委託の子どもの時にはどんな気持ちで接していましたか。

 

里母さん:そりゃもう、めっちゃ一生懸命でした。

里父さん:気合が入っていましたね。「よっしゃ育てたろう」って思っていました。でも、それは大きな間違いです。育てられません。それぞれの環境で育ってきた子ども達。その子ども達の人となりを「コロッと変えてやろう」「育て上げたろう」っていうのは大きな間違いですね。だから、「安心してご飯を食べてもらおう」「安心して寝てもらおう」これが最低限の仕事だなという気持ちに変わりました。思い返すと自分自身だってなかなか変わることはできないでしょう。

 

里親をしていてよかったこと

ー話を聞いていて、大変だというイメージを抱きますが、子どもを預かってみて良かったなと思うことはありますか。

 

里父さん:楽しいと感じるには時間がかかるかもしれません。でも、「この子変わってきてるな」「成長しているな」と感じるときがあるんですよね。そのときに「よかったな。ここに来てくれてよかった」と感じます。

 

自立した子が近況報告してくれるのも嬉しいですよね。「ここで育って元気になってくれたんだな」と思います。これからも自立してすくすく育って立派に過ごしてほしいと願っています。

 

大変な子ども達の話もしましたけど、もちろん良いこともたくさんありますよ。この前、子どもが「ごちそうさまでした。美味しかったです」と言ってくれました。その子が言い始めたら、他の子も言ってくれるようになったんですね。「ごちそうさま。おばちゃん」って。この子達凄いなって思ったんです。この子達が、今のその気持ちを忘れずに過ごしてほしいなと思います。それがご褒美かな。それで気が楽になって楽しいです。

里親になろうと思っている人へのメッセージ

里父さん:里親をしていて、一生懸命子どもを育てていて、それでも疲れたなと感じられたら、正直に児童相談所などに相談してください。無理をすると自分がしんどくなりますからね。今の自分の置かれた立場と環境から、自分ができることを考えたらいいと思います。決して無理をしないでください。

 

里母さん:子育てですので、大変なこと、しんどいことはあります。それでも、子どもが成長したなと思ったときが嬉しいです。子どもとの別れのときに、ちょっとした”印”をくれるときがあるんですよね。それは泣きそうになるくらい嬉しかったり。苦労したご褒美だと思います。苦労も振り返ったらいい思い出になります。しんどいこともあるけれど、とてもやりがいがあります。

 

里父さん:楽しんでくださいね。もしわからないことがあれば、お知り合いの里親さんに尋ねてもいいかなと思います。私どもでも間に合うようでしたら、ぜひ尋ねてください。また夢をみて頑張ってください。

 

里母さん:里親をしていると、「自分が悪いのかな」と感じて孤独になったりすることがあるかもしれません。その時のために、横の情報網を持っていてください。できるだけ、研修会や集まりに行って、「最近どう?」って話してみることも良いです。ほっとしますから。